書籍名: ヴァン・ショーをあなたに
著者:近藤史恵
ASIN:B00TTNRJJY
[あらすじ] 舞台は下町の小さなレストラン、「ビストロ・パ・マル」。三舟シェフを筆頭として、気取らない、本当にフランス料理が好きな客の舌と心をつかむための料理を提供している。
この三舟シェフには落ち込んでいる客の心まで温かくする料理を提供するという、素晴らしい才能があった。しかし、もう1つ、全く別の才能も持っていた。彼は身の回りに起こる謎をたちどころに解決してしまうという、探偵としての才能も持ち合わせていたのだ。
ブイヤベースに拘る女性客の正体、何故ヴァン・ショー(ホットワイン)が捨てられたのか、やる気満々だったパン屋の従業員が何故姿を消したのか—。これらの謎を三舟シェフは解き明かしていく。
この話の中には、優しさと温かさがある。悩んでいた人達でも、三舟シェフの心のこもった料理と鮮やかな推理によって癒されていく。
しかし、三舟シェフが持っているのは温かさだけではない。料理人としての矜持を踏み外した同業者に対する三舟シェフの態度には厳しいものがある。三舟シェフは料理人としての誇りを強く持った人物でもあるのだ。
この本は「タルト・タタンの夢」に続くシリーズ第2作であるが、独立した話であるため、この本から読んでも楽しむ事が出来るだろう。この話の料理と推理によってもたらされる温かさは、読者の心を和ませてくれる。
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