書籍名: カント入門 ちくま新書 [Kindle版]
著者:石川文康
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[あらすじ] イマヌエル・カントは1972年生まれの哲学者で、純粋理性批判という論文で、理性というものに疑問を投げかけた大哲学者である。
この本は、まずカントが批判哲学に至った過程が丁寧に語られる。哲学に慣れていないと少し難解に感じるかもしれないが、ここは他の入門書では、殆ど触れられない部分である。
カントが何を疑問視し、何を命題にしたかという土台をキチンと理解することができるし、哲学になれない人のウォーミングアップになる。カントが自己の欺瞞、うぬぼれなどにショックを受けた文章には、血の通った人としての姿がある。
次に、カントの中心的論文、純粋理性批判を中心に読み解いていく。まずは4つのアンチノミーを提示し、それについて、一つ一つ分かりやすい身近な例を引いて説明がなされる。
テーゼとアンチテーゼが見かけ上成立するというアンチノミーについて、両方共間違っているという例などは、目からウロコの感覚がする。説明のあとに、分かりやすい図があるので、先にそれを見てから本文をじっくり読むと、さらに理解が深まると思う。
道徳とは何か、自由とは何か、そして宗教とは何か。人間の中にある理性と感情の両方をすくい取ろうとする真摯なカントの姿勢に対して、人として向きあおうという筆者の姿勢もまた真摯である。
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@kirabook さんの感想
これは1970年代のカントの思想というのを年頭において読んでほしい。現代ではカントの思想をもとにもっと進んだ踏み込んだものが成されていて、カントの驚きや自制心のようなものが体感しにくいところがある。
不確定性理論等を学んでいるとそもそも科学にかんする記述には疑問も出てくるひともいるだろう。
その上で、人間の理性というものを絶対的にしなければそもそも哲学など成り立たないということにぎもんを呈したところが、ものすごい。
さらに底で絶望したり投げ出さずに、じっくりと腰をすえて人間の理性と感情についての考察を進めていく。矛盾はどこに存在するのか精査する姿勢に感動する。
宗教にまで踏み込んだことを解説している入門書は少なく、そういった意味でも良書である。