しばらく前、私は小さな会社の役員として毎日続く過酷な仕事のスケジュールに追われる日常に追われていました。次々と訪れる難題を処理するのがやっとの中、何かか足りないと感じていました。何かか足りないと感じながら現実から開放される時間に飢えていたのです。
私は子供の頃から読書が大好きです。今思い返してみれば、つきなみですが、小学生の頃には「フランダースの犬」、中学生の頃にはカフカの「変身」、高校生の頃には「龍馬がいく」などといった本に浸り、想像の世界に埋没する毎日を過ごしました。
ふと、あの楽しい時間を取り戻せないかと感じ始めていました。そしてある時、アマゾンで時代小説のキンドル本を購入してスマホにダウンロードして読み始めました。そして気が付くと、一気に全巻を読み終わった自分がいました。
わが家に到着した「読書の玉手箱」
この時の開放感、楽しさが忘れられないものになりました。他にもないかと、アマゾンのキンドルストアを検索しまくっていると、Kindle Paperwhiteという電子書籍リーダーに興味を持ちました。
それまでテレビの宣伝でも何度か見かけていたのですが、あまり気にしていませんでした。しかし、この商品の2,000もあるレビューを見ていると、何かかそこにはあると感じました。思わずクリックし、翌日にはそれを手にしていました。
届いた端末は、とても洒落ているとはいえず、しかも画面は白黒、動作ももっさりした感がありました。しかし、いったん読書を始めるとその読みやすいこと。スマホやタブレット端末の画面とは比べ物になりません。食卓から出先の鞄の中、はては夜中には薄暗いベッドの中で次々と本をダウンロードしてはストーリーの中に入り浸っていました。
読書三昧の始まり
その後、私自身の読書の世界がガラリと変わりました。キンドルの魅力に取り憑かれてしまったのです。それは、すでに人生の折り返し地点を通過した自分にとって、長年の探しものを見つかったような嬉しさでした。
ここ数年で個人が自由に本をキンドルストアに出せるようになり、これまでの文学や名作、あるいは書店に平積みされたものだけではない、広範囲のジャンルに渡る書籍が続々と登場しています。
しかも、これまででは信じられないような無料や格安価格で、しかもその場で手に入ります。それはまるで「本が満天の星空から降ってくるよう」な感覚です。
また、この電子書籍リーダーには、外からは見えない数多くの便利な機能が備わっていました。最初は紙の本との違いに面食らいました。しかし、電子書籍ならではの便利な使い方がわかると、読書のスピードがドンドンと加速し、ストーリーの展開も紙の本とは比べ物にならないほどスピーディで面白い。
アマゾンはキンドルの端末を購入した人はの読書量は、それ以前の時と比べて2倍判から4倍に増えたと言っています。私もそれを実感しました。この読書感を車で例えれば、一般道を普通車で走っているのとレース場を競争するF1レーシングカーくらいの違いがあります。
今では、一度に200冊以上のキンドル本をキンドルに入れて持ち運び、好きなときに読書を思う存分楽しんでいます。まさしく「読書の玉手箱」を手に入れ「若い時に味わった読書三昧のひと時を取り戻す」道筋が続いていました。
そしてそれは、本の中にのめり込む、”別世界のストーリー”にひたる、”自分自身が主人公”になれる時間を手に入れることになりました。
今回の出会いは、たまたま電子書籍だったのですが、それは全く新しい読書体験への入り口でした。まさしく人生2度目の読書三昧だったのです。
人生2度目の読書三昧のすすめ
実は、ここでお話した体験のさなか、私の家内は不思議そうな顔をして私がキンドル端末を使って読書をしているのを見ていました。家内も読書好きですが、本屋さんや図書館に行ってたくさん並べられた本棚から気に入った本を選ぶ時間を楽しんでいます。
「やっぱり紙の本よ。スマホで読んでも楽しくないもん。」といっていました。しかし、私がそばで楽しそうにキンドルで読んでいたり、夜中にはベッドの中に持ち込んでクスクスと笑っているのが気になっていたようです。
最近、「私にもそのキンドルってやつ、使わせてよ。なんか、楽しそうじゃない」などと言うようになりました。この「読書三昧」という現象は、もしかしたら伝染するタイプの現象なのかもしれません。
私自身の体験から言って、この読書三昧とは、例えば人生の折り返し地点を通過したようなときに、自分自身にかけている「なにか」の時を取り戻すことなのかもしれないと思っています。
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